2017/12/07

故郷を思わない

「同窓会」という場が苦手だ。
今はそれぞれ別の場所で別の人生を歩むかつての仲間たちと、
楽しく、上手に語り合うことができない。
帰省をしても家にいるか一人でふらふら散歩して終わってしまう。
私は、つめたい人間だろうか?

故郷の風景を懐かしむ音楽や文学がたくさんある。
私はいつも自分の心がそれを受け入れないことを知っているけれど、
なんだか自分が悪いことをしている気分になっていた。
世の中には「故郷や旧友を愛すべし」という教えがあると思っている。

いじめを受けつづけた小~中学時代、すべての景色は灰色で、
早くその狭くて息苦しい場所を出たくてたまらなかった。
自由で、聡明で、誰のことも気にせず息のできる東京で暮らしたかった。
楽しく過ごせた高校時代より前のことは、あまりよく思いだせない。

人はつねに変わっていく。
人が生まれた土地やコミュニティから解放された現代に、
故郷から心が離れていくことは、自然なことだと思う。
いつまでも同じ空間と人を愛しつづけなくたっていい。
変わっていく自分を受け入れ、
変わっていく仲間を受け入れ、
その時の自分にとって居心地のよい環境を
精いっぱい愛することができればそれで十分だ。

そう思うと、かえってわたしは故郷の土地を
今の自分が新たに出会うものとして愛せるような気がした。

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